境界確認の立会いの依頼がきたら

隣地の所有者が土地の売却や建物の建築などをする際、土地の境界確認の立会いを要望されることがあります。

立会いを拒否しても良いのか?境界で揉めてしまうのではないか?といった疑問や不安がわくこともあるかと思います。 そこで、境界確認の立会いの依頼がきた際の流れや注意点をまとめてみました。

境界確認の目的

境界確認は、土地家屋調査士が官公庁に保管されている資料に基づき、現地の利用状況等を精査し、隣接する土地の所有者同士の境界の認識の一致を確認するものです。土地の売却や建物の建築などの土地の利用の際には、土地の範囲を明らかにすることが不可欠となりますが、土地の境界は、隣接する土地の境界でもあることから、土地の範囲の明確化はお互いの利益となるものです。筆界が確認された場合、書面として残され、将来の紛争を未然に防止する事にもなります。

境界確認の流れ

立会いの依頼

土地を売却する時や相続する時、新たに建物を建てる時には、その土地の境界をはっきりさせるために測量を行います。隣地の所有者に対して立会いの要請をするのは、後々境界について揉めごとを避けるためです。境界確認の測量を依頼された土地家屋調査士は、隣地の所有者に連絡をとり、隣地所有者の立会いのもと境界確認をします。

立会人の資格

原則として、土地所有者本人が立ち会います。止む終えない事情がある場合は、家族・代理人でも構いませんが、その際は境界確認に関しての委任状等が必要となります。 所有者がすでに亡くなっている場合は、原則として相続人全員が立会人となりますが、相続人が多い場合は相続人代表者(管理者の方)を選出することもできます。

立会いの準備

自分の土地の境界を主張出来る図面等がないか探しておいてください。また、家族・親戚等から境界について話を聞くなど、立会いの前に少しでも多くの情報を得ておきましょう。

立会いの当日

まず土地家屋調査士が、土地の境界がどこなのか説明します。土地家屋調査士は、専門的な立場から、公正かつ誠実に業務を行う義務があり、依頼者が有利になるような境界の判断をすることはありません。なぜ境界点がその場所になると判断されたのか説明を聞いたうえで、双方が主張をします。

立会いにかかる時間は、20分〜30分程度ですが、公共用地(道路管理者)との立会いは時間がかかることもあります。

もし相手方の主張境界点と自分が認識している境界点が相違する場合には、立会いは不調となります。どうしても納得出来ない場合は、どのような部分で納得出来ないのかをはっきり主張しましょう。 提示された境界点に双方が納得すれば、立会いは終了となります。

立会い後の作成書類

境界が確認された場合、土地家屋調査士が筆界確認書を作成し、双方が署名、押印をして、1通ずつ保管します。後で境界標が亡失しても、筆界確認書があれば復元することができるので、大切に保管しましょう。

立会いを拒否すると

境界確認の立会いは、法律で決まっているものではありません。しかし、「土地の境界の明確化」は土地を所有している人の義務だと思って、協力するべきです。

遠方に住んでいたり、自分の利益にならないという理由で立ち会いたくないと考えることもあるかもしれません。しかし、立ち会うことを拒否すると、利益にならないどころか不利益になってしまうことがあるので注意が必要です。

場合によっては訴訟に発展する可能性もありますし、自分が境界確認をしたいと思ったときには、隣地の所有者の協力は望めなくなってしまいます。境界確認はお互い様です。将来的に土地を手放す時が訪れて来るかもしれません。土地の売買では、隣接地所有者の全員の立会証明書類がなければ契約を解除する旨の特約を買主側で要求することもあり、円滑な取引に支障を来たす恐れがあります。 土地の所有者は、その土地を管理維持していく必要があります。立会いの依頼があった場合は、境界立会いはお互い様と言う気持ちで必ず応じるようにしましょう。